ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』まとめ

公演概要

タイトル

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』

公式ホームページ

http://romeo-juliette.com/

キャスト

ロミオ:古川雄大大野拓朗

ジュリエット:葵わかな、木下晴香、生田絵梨花

ベンヴォ―リオ:三浦涼介木村達成

マーキューシオ:平間壮一、黒羽麻璃央

ティボルト:渡辺大輔、廣瀬友祐

死:大貫勇輔、宮尾俊太郎

キャピュレット夫人:春野寿美礼

乳母:シルビア・グラブ

ロレンス神父:岸祐二

モンタギュー卿:宮川浩

モンタギュー夫人:秋園美緒

パリス:姜暢雄

ヴェローナ大公:石井一孝

キャピュレット卿:岡幸二郎

 

原作 ウィリアム・シェイクスピア

作 ジェラール・プレスギュルヴィック

潤色・演出 小池修一郎

音楽監督 太田 健

 

公演期間

2019/02/23(土)~2019/03/10(日)

東京国際フォーラム ホールC:★★★☆☆

有楽町駅からすぐ。地下から移動すれば雨に濡れることもない。隣にはビックカメラ有楽町店があるが、有楽町店は双眼鏡・オペラグラスが充実しているおり、その他にも近くにはショッピングビル、飲食店が多くあるため、立地としては★4~★5. 音響は可もなく不可もなく。

2019/03/22(金)~2019/03/24(日)

刈谷市総合文化センター:★★★☆☆

東京方面から遠征する場合は、新幹線で名古屋下車もしくは豊橋下車して在来線を利用し、刈谷駅下車。名古屋刈谷間20分程度、豊橋刈谷間50分程度。豊橋が東京寄りになるため、名古屋と豊橋どちら経由で移動しても特にトータルでかかる移動時間は変わらず。会場と駅は歩道橋で繋がっており徒歩ですぐ。駅にドトール、会場と駅の間にコメダ珈琲店が2軒、サイゼリヤがあるが観劇前後はどこも混むため注意が必要。 音響は可もなく不可もなく。

2019/03/30(土)~2019/04/14(日)

梅田芸術劇場メインホール:今回観劇予定なし

 

感想

ストーリー全般:★★★★☆

有名なシェイクスピアの作品をロックミュージカル化したもの。ウエストサイド物語が苦痛でなかったのであれば好き好みは別としてこの作品の潤色・演出も観られると思う。

原作では宗教的かつ政治的な背景から対立している両家だがこの作品では明確な原因が明らかにされておらず、延々と憎しみが受け継がれてきたことが強調されている。

最初のカーテンスクリーンに爆撃の様子が映し出されているし劇中には携帯が登場するし異世界IFのような印象。

舞台セット:★★★☆☆

爆撃による攻撃がある街であれば無機質かつ後輩的な鉄骨が組まれたような舞台セットもありはあり?シンプルであるがゆえにどのような場面でも応用が出来るがあまりに武骨であるので情緒には欠ける。セットを動かすガラガラ音はそこまでひどく響くことはなかった。

映像:★★☆☆☆

スクリーンに映される映像がなんだかちょっと…なクオリティ。観る席によって映像効果に差が出ないことは救い。それとシリアスなシーンのバックで映し出されるチェキ風写真が歌の雰囲気に合っておらず演出意図がさっぱり分からないw

音楽:★★★★☆

ロックテイストを組み入れつつ古典的な要素を守っており一連のミュージカルとして破綻しておらず、いきなり現実を突きつけられることもなく観ることが出来る。「世界の王」「エメ」の音楽としてのキャッチ―さ、心象風景にあった「どうやって伝えよう」が特に好き。

音響:★★★★☆

音響にストレスを感じることがなかった。

その他特記

VeronaとMantovaの間にどのくらい距離があるか調べてみた。徒歩で8時間くらい。走ったり馬に乗ったり馬車を使えばもっと早いね。ちなみに東京から横浜までが6時間くらい、東京から八王子までが9時間くらい。VeronaとMantova思ったよりも近かった。

 

キャスト

古川雄大(ロミオ)

博愛に溢れた陰のロミオ。

ヴェローナ中の女の子を夢中にさせる美貌。納得。相変わらず容姿が王子様。

かなり過去に歌を聞いたきりだったが当時より声量が増えていて驚いた。未だにカスミ食べてそうな声質だけど。Wキャストの大野さんが明るいパワフルな声なので比べてしまったのでそのあたりは今後に期待。

世間知らずの純粋さで「心優しい俺たちの王になる」と仲間から言われているのも頷けるし、友人たちが去っていって一人になった時に死が怖いと怯える姿も様になっている。

ただそんな彼が激情にまかせてティボルトを刺してしまうことには違和感を感じた。死に怯える彼さえも友人の仇の前では憎しみが勝つ(ヴェローナの憎しみの連鎖から逃れられない)という演出なのであれば納得出来る。

あと古川さんのキスや夜明けのシーンは、なんか、情感が、すごい。

大野拓朗(ロミオ)

愛情に溢れた陽のロミオ。

ヴェローナ中の女の子は多分振ってない。でも無意識に友人からのリア恋に突き落とした女は結構いると思う。容姿が正にいいところのお坊ちゃま。

繊細な歌も歌えるし、甘やかに歌うことも出来るし、声質も聞き取りやすく、パワフルさもある。ただ陰陽で言えば陽属性なので死が怖いというより皆においていかれるのが怖いという甘ったれな印象。古川ロミオと印象が真逆。

ジュリエットに微笑む時の爽やかかつ甘く溌剌とした笑顔が見ていて気持ちがいい。

葵わかな(ジュリエット)

しっかり者のニュートラルなジュリエット。

セリフの際の声質と高音を歌う際の声質が違って聞こえたため人物像が定まらず、三人のジュリエットの中では一番解釈が難しかった。

大野ロミオとの組み合わせだったが三人のジュリの中で唯一ロミオよりお姉さん感があった。

木下晴香(ジュリエット)

繊細で静謐な陰のジュリエット。

お芝居も歌も容姿も好みすぎた。憎悪を植え付けられて育ったティボルトが焦がれ神聖視するのも納得。彼女に対しては優しく親切なティボルトだったんだろうなと思う。

陽の大野ロミオとの組み合わせにおいて陰陽がぴったりとハマっていて相性が良かった。 上手過ぎてジュリエットの感情が痛いほど伝わってしまって結果泣き過ぎた…。

是非次の別の舞台も観に行きたい。

生田絵梨花(ジュリエット)

陽の箱入りJKジュリエット。

ミュージカルとしての歌が上手いかと言われると「…」だけど、あのふわふわした歌もこのJKジュリとしてはキャラクターにも合っていて違和感なく観れた。

古川ロミオがほっといたらこの世の不幸を背負ってしまいそうな様子なので、生ジュリくらい楽観的、楽天家な様子の方がカップルとしてはバランスがいいのではないかと思った。ティボルトの中の生田ジュリは、還らない幸せな過去の幸せの残像感がある。

ただ、余りに恋に恋した、初めての恋に浮かれるJKの様子なので(あまりに現実が見えていないので)見ていて無駄にハラハラしてしまった…笑

大人から見ておままごとに見える恋でも彼女の中では本当の愛だったんだと思えるジュリエットで、観ていてあの世ではロミオと二人お幸せに、と思うジュリエットだった。

三浦涼介 (ベンヴォ―リオ)

二人の友人を陰から支える陰のベンヴォ―リオ。

トリッキーなマーキューシオを敬遠することなく可愛がっていたりと三人の関係の中で兄寄りに感じた。キャラクターとしては好みだが歌に特徴がなく大事な部分が印象に残っていない。高温が苦手に感じた。

マーキューシオが死んでずっと彼の頭を掻き抱く様と、死んだロミオの額にキスをする様があまりに悲痛かつ愛に溢れていて観ていて辛かったし愛に溢れた話が好きなオタクは死んだ。

彼の一助によって両家は手を取り合うことが出来たけど結局彼自身はこのまま救われることはないんだろうなと感じた。

木村達成(ベンヴォ―リオ)

自分の世界の主役は自分自身、悲劇の中の陽のベンヴォ―リオ。

驚いた。こんなに素晴らしいとは思っていなかった。 マーキューシオの喪が明けるまで戦いはやめろと歌う中で「みんな狂っている」が最後高音になっていることによって、仲間や街の人々が憎悪に狂っていることへの悲痛な叫びとなっていて身につまされる。また、彼自身が憎しみは憎しみしか生まないことに気付きどうにかしなければと思っていることが分かる。

木村さんの ベンヴォ―リオの良かったところは幼馴染の後ろを付いてまわっていた少年が大人にならずにいられなかったという、ロミジュリの中のもう一つの物語を見せてくれたこと。

次の作品も絶対に観に行くし、いつかロミオやってほしい。

平間壮一(マーキューシオ)

とっくの昔に壊れてしまった陰のマーキューシオ。

なるほどそう来たか!と思った。板の上でのびのびとマーキューシオという役にチャレンジしながらも劇中のマーキューシオとしても破綻していなくて平間くんのファンは幸せだろうなと思った。髑髏城の七人上弦の板の空気を思い出した。

ティボルトに刺され息絶える間際にモンタギューとキャピュレットのどちらも憎む!と、憎しみに一番嬉々として身を委ねていた彼こそが一番その憎しみを憎んでいたという事実が衝撃だった。彼は以前何かあったか前世ロミオだったのでは。

そんな彼にとって光を失わないロミオは仲間以上の想いがあったんだろうと思った。そんなロミオが自らの死によって憎しみに支配されてしまいその光を一時失ってしまう様を見ずに済んだのは彼にとって幸せだったんじゃないかと思う。

黒羽麻璃央(マーキューシオ)

全てを憎しみきれずにもがく陽のマーキューシオ。

2回目に見たときに黒羽さんらしいマーキューシオ像が出来上がってて短期間の成長速度に驚いた。まだ模索中感はあるので今後どう化けていくのかが楽しみ。

黒羽さんのマーキューシオは心根が優しいように感じた。繊細な心を守るためにまとった鎧も結局彼の心を守り切ることは出来なくてずっと苦しみ続けてきたんだと。

彼のマーキューシオは正に大人たちの憎しみによって翻弄され続けた若者たちの象徴のように感じた。 同じく苦しみによって自由に生きることは出来ない出来るはずがないと叫ぶティボルトとは正に裏と表だったのだなと思う。

渡辺大輔(ティボルト)

傲慢で身勝手な悲劇のティボルト。

全てを他人のせいにしてただ盲信的にジュリエットを想う様があまりに自分勝手かつ傲慢で、いっそ最高だと思った。

どの感情も大体最後は憎しみの感情に代わっていて、彼自身の自覚のないままにすでに憎しみの連鎖の呪いにかかってしまっているのだと思った。自覚がないままに死ねたのは彼にとって幸せだったのでは。

廣瀬友祐(ティボルト)

大人たちに翻弄された悲劇のティボルト。

憎しみの連鎖の傀儡として翻弄され続けた悲劇の男。陰の古川ロミオと正に表裏一体だと思った。この組み合わせの場合、二人の小さな差異でジュリエットから選ばれる者と選ばれぬ者に分かれるとか、他者に翻弄され続けたティボルトとがあまりに哀れで絶望が過ぎるので是非廣瀬ティボは大野ロミオとの組み合わせでお願いします。

なお、廣瀬ティボこそヴェローナ中の女という女全員を食ってる。自分はジュリエットを愛してるし、相手たちが勝手に寄ってきただけだし勝手に去っていっただけだね、そうだね。

自死ではなく他者から与えられた死によって連鎖から解放されたティボルトはいっそ幸せだったのでは。どうか安らかに。

大貫勇輔(死)

彼から始まる圧倒的な死のオーラこそこの演目のメインテーマの一つであり、全ての生き物が逃れることの出来ない死というものへの恐怖を思い出させる素晴らしい演出だと思った。とても好き。

特に大貫さんの死と古川ロミオとのモダンダンスの掛け合いは古川ロミオが纏う陰のオーラと相性が良いし、古川さんご自身もバレエ系ダンスをやっていらっしゃったからか掛け合いが素晴らしくて最高に好きだった。

死の求めるロミオが怯んだ瞬間にそっと薬を差し出ししぐさ、そしてそれに手を伸ばすロミオ。「魔が差す」というのはこの死のような存在なのかもしれない。

宮尾俊太郎(死):未見
春野寿美礼 (キャピュレット夫人)

木下ジュリに対してはニュートラル、葵ジュリに対しては同じ女としての感情が表に出過ぎて親子としての情が薄れているように感じた。葵ジュリもあんまり親のこと好きそうな感じしなかったし。

キャピュレット夫人として一番好ましかったのは生田ジュリに対する夫人。恋を貫こうとする生田ジュリを親としては諌めようとし、女の自分としては嫉妬しつつも眩しく感じる様が女の葛藤を描いていて彼女の苦労に思いを馳せずにはいられなかった。だからこそ、愛し合い死んだロミオとジュリエットをこれ以上離してやってくれるなという悲痛な叫びにつながったのではないかと思う。

キャピュレット夫人のお衣装、セクシーで誇り高くて好きです。

シルビア・グラブ(乳母)

シルビアさんの乳母大好き。私に謝らないでっていうところも、二人の結婚式で泣きながら優しく笑うところも、男ならしゃんと背筋のばして!ってところも、二人の死後ベンヴォと抱き合うところが特に好き。

作品の中で一番憎しみから遠いキャラクターになっているところが観ていて安心する一因かも。 憎しみによって左右されない愛を感じる。

岸祐二(ロレンス神父)

神父様も人間なんだよな~という。人からは絶対的指導者であると思われながら彼も間違いを犯すし結果実際にロミオとジュリエットは死んでしまったしそれによって自分自身も神を疑うし、なんというか、難儀だなあ。歌い方はそんなにハマらなかった。

宮川浩(モンタギュー卿)

キャピュレットに対して「敵に背を向けるなどもっての外だ」と歌うシーンがかっこいい。キャピュレットと違い見せ場がないのが残念。歌い方は好きでも嫌いでも。

秋園美緒(モンタギュー夫人)

憎しみ合う男たちに翻弄され続けてきた女たちの象徴としてキャピュレット夫人と共に出てくるわけだけど、モンタギュー夫人はまだ夫婦の間に愛情が感じられる演技があるから余計にキャピュレット夫人が寂しく哀れに見えるのだなと思った。

本人は仲良くしたいけどキャピュレット夫人とは仲良くなれないと思う。歌い方はそんなにハマらなかった。

姜暢雄(パリス)

なんかこの人見たことあると思ったら姜さんだったからびびった。

キャラクタライズされた演技がとってもキャッチ―で良いのに出番が少なくて残念。是非出番を増やしてパリスの場面で心の安寧を得たい。歌い方は好きでも嫌いでも。

石井一孝ヴェローナ大公)

ヴェローナを愛しているならもっとなんとかならんかったんかと納税者は思ってしまってみたり。歌い方はそんなにハマらなかった。

岡幸二郎(キャピュレット卿)

冷たいと見せかけて不器用なだけっていうキャラ、劇中ならめちゃくちゃ許せるよな。ジュリエットのことを本当は愛していたというのも本当ではあろうが不器用過ぎる。 せめて夫人との関係だけは修復されてほしいなと思う。

総合振り返り

  • 同じシェイクスピアの作品である『マクベス』(福田恆存訳、新潮文庫)から「きれいは汚い、汚いはきれい。」のセリフが組み込まれていたり、私はこのネタしか分からなかったけど、知識があればそのようなオマージュに気付ける点も面白い。
  • 好き嫌いはかなり分かれると思う。携帯の設定だとかが中途半端に古かったり、そういう設定が受け入れられるのであれば観られると思う。 ロックテイストの音楽でギャンギャンされるのが楽しかったこと、キャッチーなテーマ曲があること、一部キャストがとても好みでだったことから私は再演があれば観に行きたい作品。
  • 以下で観たい。
    古川生田木村黒羽渡辺大
    大野木下三浦平間廣瀬宮尾

今回の儲けものと今後の教訓

  • 木下晴香さん
  • 木村達成くん
  • Wキャストの作品にハマると財布が死